私の父と発達障害の子供
私の実父はお金と女性にだらしなく、女性や父の親兄弟に頼まれればホイホイとお金を簡単に渡してしまい、私や妹の貯金にまで手を出すようなどうしようもない人間でした。その上偏食で野菜は一切食べられず、「野菜なんてヤギが食うものだ」と言って母をよく困らせていました。
外食と言えばラーメン一択。母が手料理を工夫して家ではなんとか食べられる物が増えていきましたが、本当は毎日ソーセージパンとラーメンのローテーションで充分だと言っていました。
私や妹の運動会では、他の親御さんが自分の子供を一生懸命応援している中、徒競走が始まっても私や妹が走っている最中に校庭に背中を向けてムシャムシャお弁当を食べているような異様な父の姿。
「貴方のお父さんは変わった人だね」とよく友人に言われて恥ずかしかったものです。
父は家族とすら会話が噛み合わず世間話が苦手でずれた事ばかり言うので、親しい友人は一人もいませんでした。
当然、父と母の夫婦仲も最悪で、母はいつもイライラ。もっと言えば、父の母親...つまり私の祖母にあたる人も支離滅裂な人で空気を読まず他人を傷つける発言しかしないので嫁姑関係も泥沼だったようです。
長女の私は母親の鬱憤を晴らすためのサンドバッグ的な役割でした。母は何かムカつく事があると私を殴っては「これはしつけだ。私が厳しく育てているからお前はまともな人間に育っているんだ。」と虐待を正当化しました。言葉の暴力も激しかったです。今思えば母は、何もかもが理解不能の夫に疲れ果ててノイローゼ気味だったのでしょう。
そして、私は大学進学をきっかけに親と距離を置き、学費もアルバイトの掛け持ちでなんとか自分で払いました。アルバイトで常にヘトヘトではありましたが、親と年に一度しか会わなくなって、私は自由になり幸せでした。
やがて結婚し、末の子に3歳頃から何か違和感を感じるようになりました。
なかなか言葉が出ず、表情に乏しい子で、幼稚園ではいつも教室の隅っこで泣いていてお友達を作るどころか集団に馴染むことができませんでした。
「これは何かあるなあ」とはわかっていました。
霊が憑いているとかそういう事ではなく、娘の心の中をのぞくと常にモヤがかかって不安で一杯の状態で、聴覚過敏もあり、脳の機能の方に問題があるのではと感じておりました。
自分の子供に何とも言えない違和感を感じていたので、役所に相談し児童相談所で発達検査を受けました。
子供は発達の凸凹が大きいとの事で幼稚園を辞め、療育施設に通わせる事を決めました。
子供は小学校にあがった頃、ADHD(注意欠陥多動性障害)であると医師の診断がおりました。
不注意優位の子なので、多動はほとんどありません。
物忘れ・なくし物・一斉指示が通らない・算数だけができないなどがありますが、他人から見ると会話も特にずれているというところもなく、一見どこが悪いのかわからない状態です。教育委員会からは通常級の判定をもらいましたけれど、私は霊視を使いますので自分の子供の将来を見て将来的に支援なしには企業で働けないだろうと判断し、親の意志で支援学級を選びました。
そして自分の子供の診断がついた時、自分の父親のこれまでの奇行がなんだったのか、モヤモヤしていた事がはっきりとわかりました。
父は発達障害だったのです。
パズルのピースが全て埋まるような、「ああそうだったのか」というどこかスッキリした気持ちになりました。
発達障害というもの自体がここ数年で世の中に知られ始めていますが、見た目ではわかりにくい障害のため、なかなか健常者から理解を得られず生き辛い世の中です。
当店を訪れるお客様の中にも、ご自身やパートナー、お子さんに違和感を抱えているとおっしゃる方が随分増えました。
昔は発達障害者が少なかったのではなく、昔から一定数存在したけれど今ほど「障害者」として線引きされていなかっただけなのだろうと思います。
軽度の発達障害者ほど生きる場所を探すのが大変です。
IQが高ければ、生活の自立が難しくてもなんの支援もありません。
親が死んだ後グループホームに入る事すら難しいのが現状です。
職を転々とし、貯金も作れず、借金を重ねたり他人に騙されたりと苦難が続きます。
そういった問題を抱えた人がどうすれば生き辛さを軽減する事ができるのか、未来を見通した上で現実的にできる事は何かをお伝えしております。
中には、発達障害は霊障だと「霊能者」に言われてご祈祷に何百万も払ったのに改善しないとおっしゃるお客様もおられます。
遺伝の問題はありますが霊障だからお祓いをすれば障害がなくなるといった事はありません。
そんな事で障害が取り除けるなら簡単なお話なのですが、現実はそうではありません。
私はヒーリングで障害が良くなるとか除霊等お祓いでどうこうするというアドバイスは一切しません。
我が子と共に歩む中で、非現実的なことでは改善しないとよくわかっているからです。
霊視で見える事をお伝えしますが、将来どんな道を歩めば良いのか、どんなサポートが合っているのかなど、個人個人でなすべき事は異なりますので現実的に本人や周りの人間ができる事は何かというヒントをお話させて頂いております。
私は支援員ではありませんので、「こうしなさい。」など決めつけた指示は出しません。
責任を持って我が子の進むべき道を見出してあげられるのは家族だけですから、ヒントを得てどのような道に進んでいくのかはご家族の手に委ねます。
発達障害は「病気」ではなく「障害」ですから、治す事は不可能なので障害と付き合っていくしかありません。
しかし日常の困り度を減らすためにできる事はありますので、奇跡のように障害をなくす事はできないけれど、その特徴に合った生き方というものを見出す事ができればと考えております。